ノキア―世界最大の携帯電話メーカー
ノキア―世界最大の携帯電話メーカー
スタファン ブルーン
●ノキアに興味があれば読んで損はない
著者はフィンランド人だが母語はスウェーデン語。
それをフィンランドには疎い訳者が翻訳しているため、不適切な日本語が多い。
スウェーデン(人)の視点でノキアを見ているかの記述に疑問も残る。
しかし、ノキアの軌跡を端的に追えるため、同社に興味がある人には基礎知識として
有意義かも。
しかし8年も前の著作なので、今日的意義はきわめて薄いだろう。
改訂版・増補版を出して欲しいところだが、その場合、フィンランドの事情に通じた
訳者にお願いしたい。
なお、原題のBokem om Nokiaは「ノキアについての本」というひねりもなんにも
ないものです。
●Nokiaの全貌はよく分かる、が。
冒頭の「一般的なイメージとして、フィンランド人は頭脳が決して優秀ではない」で、
ひきました。著者は奥付によると、フィンランド人となっていましたが、原書はスウェ
ーデン語で書かれ、著者名もスウェーデン名らしいです。
隣国間の近親憎悪ってどこにでもあるもんだなあ…と、Nokiaとは全然関係のない
ところで感心してしまいました。
●日本より条件の悪いノキアが、なぜ奇跡的急成長を成し遂げたか?
急成長を遂げたノキア社の歴史を振り返る本である。いち早く成長分野を発見し、
会社旧来の伝統分野をバッサリ切り去ってその鉱脈に全勢力を集中する。
書いてしまえば簡単だが、実際にはかなり勇気の要ることだ。
万以上の社員をかかえそれらの社員の生活を預かっていると思えば、凡百の経営
者であれば、二の足を踏むに違いない。ノキア社はそれをやり遂げた。日本のメーカー
にはそれができなかった。
なぜか?その答がこの本にある。真のグローバル企業は日本に存在しないことが
よく分かる。現在、類書には本書と、もう一冊オレンジ色の表紙「ノキア−携帯市場
のパイオニア」がある。
それぞれ特長があるが、完成度は本書「ノキア−世界最大の携帯電話メーカー」の方
がはるかに高い。オレンジ本も面白い試みをしているが、残念ながら消化不良だ。
確かに本書も訳文はいわゆる翻訳調であり、本来の日本語としては首をかしげる人も
少なくないと思う。しかし、文学作品ではなく短文なので、むしろ頭に入りやすい。「床」
など、初歩的な誤訳もあるが、意味は充分伝わる。
そのような表面的なことより、なぜ日本企業より条件の悪いノキアが奇跡的急成長を遂
げたのか、なぜ日本企業にできなかったのか、に興味があれば、全く苦にはならない。
フィンランドの過酷な歴史を思えば、今の繁栄の快挙に素直に拍手を送りながら読んで
欲しい本。
●日本語の問題???
イジワルな気持ちは毛頭ないのですが、正直な感想を述べさせて頂くと、読み進むのに
時間がかかってしまいました。フィンランドをはじめとする、北欧の人名や地名になじみ
がないせいかとも思ったのですが、それだけでもないような気がします。
書籍としての内容は期待していた以上だったかもしれません。NOKIAという会社に興味
をお持ちの方には、一読の価値はあると思います。語学の才能があれば、是非原書で読
んでみたいですね。
●ハイテクとは縁の無いような地理・文化からいかに成功したか
おおよそハイテクとは縁の無いような片田舎のフィンランドから、世界最大の携帯電話メー
カーが育っていくようすを、その文化的、歴史的背景を交えて物語にされており、大変興味
深く読み進んだ.周りの反対にも関らず片田舎でハイテクへの投資するをトップの判断に
よって長年にわたって継続され、それがついに花となり、身を結んだ点に特に感心した。